「全損」と聞くと、車が大破して修理できないことをイメージする方も多いと思います。

修理できない状態のことを「全損」という考えで間違いはありませんが、もう少し掘り下げて言うと「修理するのが物理的にも経済的にも妥当ではない」状態と言えます。

車の修理は極論をすると、多額の修理費用をかければどんな車でも直すことができます。

しかし保険料を無限に請求されると保険運用が困難になるので、上限を「時価額」までと決められています。

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時価額とは?

時価額とは車の年式や走行距離などに応じて、現在の中古車相場をもとに算出された価格のことです。

例えば納車して間もない車であれば新車価格に近い価格が付きますが、10年落ちの車だとせいぜい数十万円程度の時価額になります。

「思ってた以上に賠償金が出なかった!」

実際に賠償額を受け取った方のほとんどがそう思うかもしれません。

その原因が「時価額」にあるでしょう。

相場は人気車種・人気カラーなどによっても異なりますが、総じて年式の古い車や走行距離の多い車ほど時価額が低くなる傾向にあります。

また、時価額の参考とされるのが、オートガイド社発行の通称レッドブック(オートガイド自動車価格月報)です。

このレッドブックは全車種の小売り相場が掲載され毎月更新されています。

このレッドブックは市場の相場より若干低めに価格が設定される傾向にあります。

そのため時価額も低く算出されてしまうことになるのです。

全損の種類は3つある

全損の種類は大きくわけて次の3つがあります。

  • 物理的全損
  • 経済的全損
  • 盗難され発見できない

物理的全損

物理的全損は、修復不可能なまでに車が大破した状態のことを言います。

物理的に修復が困難な状態では、修理費の算定が難しくなります。

物理的に修理が難しい場合は、時価額を上限に支払われます。

ただし物理的全損において時価額が支払われた場合、車のスクラップ代で得られる代金は差し引かれることもあります。

経済的全損

経済的全損は、時価額より修理費が上回るケースにおいて発生します。

例えば時価額50万円の車が事故にあい、修理に80万円かかるとすると・・・・・・

修理すると30万円の赤字になってしまいます。

この場合、車の所有者が30万円負担することになりますが、修理するほど車に価値が無い、あるいは修理費を捻出できないとなると廃車にするしかありません。

修理できても廃車や乗り換えたほうが経済的な場合は、経済的全損になります。

時価額は年式の古い車ほど低く算出されます。そのため、経済的全損は被害者側に不満が高くなることが多いのも事実です。

盗難され発見できない

特に人気車種でよくある事例ですが、車が盗難被害にあうことがあります。車が盗難された場合、手元に戻る可能性は約20%といわれています。

被害届を出したにも関わらず、一向に車が発見されない時は、全損扱いとなり時価額を基準に支払いを受けることができます。

ただし盗難による全損は、保険金詐欺も多く含まれるため保険審査が厳しくなっています。

実際に車を盗まれてしまったときは、速やかに警察に被害届を出すことが大切です。

もらい事故の被害にあった場合

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もらい事故で自分の車が被害になった時、時価額までの賠償金しか請求できないので、年式の古い車だと十分な賠償金を得ることができません。

ただし相手が「対物全損時修理費用特約」に加入していた場合は、時価額に加えて数十万円程度の修理費用をもらうことができます。

特約に加入しているかどうかは事故に遭うまでわからないため運次第ですが、あまり期待しずぎは良くないですよね。

特に古い車ほど全損扱いだと十分な賠償を受けられないので、できるなら事故にあうことなく乗り続けたいものですね。

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